「お金自体に価値はない」
「お金で解決できる問題はない」
「みんなでお金を貯めても意味がない」
こう言われて、「うん、そうだよね」と素直に受け入れられる人は少ないのではないでしょうか。私自身もそうでした。
本書では中学生の佐久間優斗が「ボス」と呼ばれる謎の老人から「お金とは何か」を学ぶ経済教養小説となっています。
主人公の成長と合わせて、読者の中でのお金の認識も変わっていくことでしょう。
読み終えたときには、冒頭の3つの言葉の意味が理解できるようになっているはずです。
これらの言葉に違和感を抱く人ほど、本書を読む価値があると思います。
とにかくわかりやすく、読者への「愛」を持って書かれている本です。
忙しい日々を送る中で忘れていた「大切なもの」を思い出させてくれる、そんな1冊。
まさか、お金の本を読んで、最後目に涙を浮かべることになるとは思いませんでした。
・学生、新卒社会人
・お金のために働いている人。お金が欲しい人。
概要
書籍名 | きみのお金は誰のため―ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」 |
著者 | 田内 学 |
出版社 | 東洋経済新報者 |
出版日 | 2023/10/18 |
こんなときに | お金、経済の見方を知りたい |
キーワード | お金,投資,経済,社会 |
ページ数 | 211頁 |
なぜこの本を読んだか
無駄な出費を抑える。転職して年収をアップさせる。副業で副収入を得る。NISA等を活用して株式投資にチャレンジする。
SNS、YouTubeなどをお金を守る力、稼ぐ力が多くの人に広まりました。個人一人ひとりの視点に立った時、より豊かな生活を送るためにはとても大事な内容です。
私も必死に勉強しました。実践することで、数年前と比べると生活は楽になったような気もします。
少し豊かになったような気がしていたからこそ、「お金自体に価値はない」「お金を貯めても意味がない」という本書の目次をみて「どういうこと?」と思い読むことにしました。
勉強なったポイント
・多くの人がお金のために働き、お金に感謝する。年収が高ければえらいと思い、貯金が多ければ幸せと感じる。生活を支えるのはお金と勘違いして、いつしかお金の奴隷に成り下がる。
・「お金の奴隷にならないために、お金を稼ぎたい」これこそがお金の奴隷になっている証拠
・お金によって人々が支え合える社会が実現している
・お金を払うというのは、自分で解決できない問題を他人にパスしているだけ。問題を解決しているのは、お金自体ではなく、お金を受け取る人々。お金は解決してくれる人を選ぶことしかできない。
・ハイパーインフレで失敗する国は、生産力の不足をお金で穴埋めできると勘違いした国
・経済は無駄な仕事を減らしてきたから発展できた
・お金は奪い合うことしかできないが、未来は共有できる
・お金が無力であることに気づかないと、お金を集めることだけに執着する
・生活の豊かさは1人ひとりにとっての価値の話。価値と値段は区別しないといけない。
・みんなを等しく便利にした会社の創業者が、結果的に金持ちになった
・儲からない投資は社会への罪
・社会という悪の組織のせいにして、自分がその社会を作っていることを忘れていることが、いちばんタチが悪い
・”ぼくたち”の範囲を広がると世界が変わる
ネクストアクション
・お金を稼ぐこと自体は悪ではない。”ぼくたち”(社会)の未来のために役立つことを意識して仕事に取り組む
・お金ももらう時、使う時は、その向こうにいる「誰か」をイメージする
所感
田内さんの中の”ぼくたち”には読者の人たちも含まれているんだろうと感じました。それほどまでに、読者のこと、社会のことを愛していないとこのクオリティの本は書けない。そう感じさせてほどに満足度は高かったです。
纏め
お金と関係なしに生きていける人はいない世の中。お金の見方が変われば、世界の見方も変わる。
全子ども、大人に呼んで欲しい。そんな1冊となっています。